愛用のスピーカー(ルネッサンス90)は22年も聴き続けていますが、唯一の不満(低域の量感不足)を解消すべく悪戦苦闘してきました。セッティングの工夫やリスニングポイントの移動、インシュレータの取替え、ケーブルや結線の見直し、家具の移動などなど、やり尽くした感があります。
でも、不満は解消されません。
このブログで「クラシック音楽でサブウーファを駆動させることには少々抵抗感・違和感があります 」などと書いた私ですが、万策尽きたなか、思い立ってaudio-pro社(スウェーデン)のサブウーファ(SW)「B2.27 マークⅡ」の試聴機を借りてみました。
このSWのレビューは、今回お世話になった逸品館さん(大阪・日本橋)のサイトに詳しく載っているのでご覧頂くとして、私なりのレビューを書いてみます。
<http://www.ippinkan.com/audio-pro_B227.htm>
(設置場所)
セッティングは試行錯誤の末、画像のとおりフロントSP(右)の真後ろがベストでした。
後ろの壁面とは平行させず、斜め置きです。
背面を前に向けるのが音響的にも、ボリューム操作の面でもベストでした。
(外観・構造、スペック)
このSWはバスレフ式で高級SWに多い密閉型ではないのですが、左右側面に2つのウ-ファーユニット(直径16.25cm)が搭載される珍しい構造で、バスレフポートは真下を向いていて見えません。
audio-pro社独特の技術(「ace-bass」)が駆使されているとのことで、スペック上の下限値は26Hzとなっています。
オ-ディオチェックCDで超低域音(21.5Hz)を再生すると、苦しそうですが波動を感じる(部屋の空気のうねりを感じる)ことができました。
16cmのユニット、一辺40cm程度のコンパクトボディーとしては立派なものでしょう。
(画像出典:逸品館 様<大阪・日本橋>)
(さて、どんな結果が・・)
試行錯誤の結果、ローパスフィルターの設定値は低限の50Hz、ボリュームも9時程度と控えめになりました。
当初は「単に低域が膨らむ程度だろう」と予想していたのですが、全く違いました。
驚いたのは、このSWを付加すると、フロントSP(ルネッサンス90)の再生音全体に実体感・厚みが付与され、音の艶が増します。それも不自然ではなく、さり気ない変化です。
ルネッサンス90特有の中高域のクリアな瑞々しさは保持しつつ、「艶や」が載る感じです。
この変化の理由はよく分かりませんが、SWについてのブログやレビューを読むとこうした変化は他のSWでもあるようです。
勿論、肝心の低音系の楽器はその存在をクッキリと明瞭にしますが、不自然さやブーミー感はありません。
ウチの安価なAV用サブウーファとは低音の品位やキレが全く違います。
例えば、コントラバスの音はさり気なくキレの良い重低音がしっかり聴こえてきます。
でも決して聴こえよがしの低音ではなくごく自然な感じ(生のコンサートに近い?)で、ここぞという時は深く沈み込みます。
このあたりは、ローパスフィルターの設定値とボリュームが肝心で、ヘタをすると不自然でブーミーになってしまいますが、絞り込んでゆくと最適な設定は必ず見つかります。
この絞り込み(苦労)が正にオーディオの楽しみでもありますが、最適な設定が決まれば、ソースごとに微修正する必要は殆ど感じませんでした。
低域の量感が不足するルネッサンス90では今迄気づかなかった「コンバスのごく小さなピチカート」、「バスドラムの小さな連打」などなど、今までキチンと聴こえていなかったものが随分あるんだなというのが実感で、聴き古したCDが別物に聴こえることがしばしばでした。
さすがに、20hz近いパイプオルガンの超低域はちょっと苦しいのですが、オルガンの聴き応えはフロントSPだけの再生よりずっと優っていて、生演奏を彷彿とさせます。
NHK(オーケストラ・ライブなど)の5.1サラウンド放送は好んで聴いてきましたが、AV用サブウーファで聴く低音は品位がなく不自然でした。
このSWでは、調整して絞り込めばほぼ不満なく5.1サラウンドが楽しめました。
今までずーっと「ピュアオーディオでSWの付加再生は邪道」と思ってきた私ですが、考えが揺らいできました・・・。
(付記)
このSWの不満な点:
・ローパスフィルターの設定を無効にすることができないこと。
(AVアンプでローパスを掛けることもあるので、ダブルのフィルタは避けたい)
・ローパスフィルターとボリュームのダイヤルに目盛がないこと。
・パイロットランプ(青色)が眩し過ぎること。
(実際の設置では、背面<調整盤>を前に向けるのがベストだったので、眩しくはなかったけれど・・)
・電源コードが脱着できないこと(ピュアオーディオ的でない)こと。
この記事へのコメント
なべ
ボーズのバズーカなんてのは、どうだったのでしょう。オーディオフェアで昔見たことを思い出しました。
シェルティーのパパ
「サブウーファとピュアオーディオ」はナイーブ(タブー?)なテーマかもしれませんが、今後も折にふれ書きたいと思っています。
ジェイ
まさかあの記事で検索掛かるとは思ってませんでしたw
2.27はしっかりした締りのある低音を出してくれるので、上手く調整されてるみたいですのできっと使いこなせていい音出してくれると思います。
私はAVアンプとプリメインアンプを音楽と映画でめんどくさいですが繋ぎ変えてボリュームも変えてます。
grunerwald
シェルティーのパパ
コメントありがとうございます。
今回の試聴では、SWをAVアンプのSW端子と繋ぎ、メインSPはピュア系プリメインアンプ(LUX-570)で駆動(2台のアンプを同時駆動)しました。
SWを付加する場合でも、メイン音声はピュアオーディオ系のアンプで駆動したいですよね。
シェルティーのパパ
4月以来、ご無沙汰で失礼いたしました。 貴ブログの音楽祭ものなど、羨望をもって読ませて頂いています。
●拙い試聴記へのコメントありがとうございます。 ルネ90の低域対策としては、SWの付加よりも、アンプの見直し(バイ・ワイヤリングを含む)が正道だとは思っているのですが、手付かずのままです。 ご助言を参考に検討したいと思います。
narao
さて、セッテング、電源等もかなりやり尽くされていると思われ、愛着は深いと思いますが、私もアンプの変更でしか根本的な改善は出来ないように思います。ウーハァをがっしり制御できれば、このクラスなら、本来、SWなど要らないような気がいたします。
後、セッテングですが、自身の聴感、視覚等、一切、無視して、ただ物理的に、後方の壁、側面の壁と、2本のスピーカーとの距離をぴっちり揃える。もう試されているのかもしれませんが、意外にもかなり効果的な方法だと私自身は学習しています。
シェルティーのパパ
コメント・ご助言ありがとうございます。
アンプの見直しについては大いに悩んでいます。
自宅試聴は必須なので、まずは購入候補を絞り込むことから始めたいと思いますが、コレがなかなか難しいです。
セッティングについても見直しは続けたいと思います。
流布院
私の場合このサブウーファ、置ける所に置いただけなんですけれどもそれでも十分気に入っています。
あまり細かいことを気にせずに使える機種なのかもしれないですね。
今は値段が上がってしまっていますが、安さも良かったと思っています。
使い始めて気づきましたが、青のパイロットランプは確かにかなり眩しいですね。
あと、テカテカな表面は傷が入りやすく、その傷も目立つのでそこが一番嫌いな所です。
シェルティーのパパ
コメントありがとうございます。
確かに本機は良いですね。
(今より安い時期に買っておけばよかった・・・。)
本機の眩しい「青色パイロットランプ」はLEDでしょうか。
だとしたら、中村修二教授(ノーベル賞!)に乾杯。